二十年にいちどという大雪に見舞われた圓藏院は、すっぽりと白銀におおわれました。近年、温暖化による暖冬がつづいた埼玉。こんな雪景色は、ひさしぶりです。幼少のころの、寒い、寒い雪の日を思い出しました。
庭にでると、雪をかぶった椿の真紅の花びらから、ぽたり、ぽたり、と雪どけの滴が落ちています。その瞬間、思い出したのが、この禅の言葉でした。
「一滴一凍」(『伝灯録』より)。
いってき・いっとう、と読みます。
つららから水が滴り落ちては、一瞬後、凍りつく。この水滴のように、さずかった生命も、人生も、一瞬々々を十全に大切に生ききりましょう。そんな意味の言葉です。
早朝。まだ、だれも踏み入っていない白一面の畑に、子どもたちが歓声をあげながら「最初の足あと」をつけようとしています。遊びの天才たちをお手本に、人生の瞬間々々を精いっぱい楽しく、喜びにみちて、味わいたいものです。