花の寺 圓藏院

2018.04.07 ちいさな法話「花を愛で、花に愛でられる」

仏教には「自利利他」という重要な思想があります。他人に善きことをなすこと(布施)が、自分自身にも善きことをもたらす。その逆も然り。という考えです。自分のためにしたことが、結果的に、他の人にもいいことをもたらす。それは、自分のために花を育て、咲かせることが、他の人にも幸せを分けあたえることにも似ています。

お釈迦さまは、『スッタニパータ』というお経のなかでこんなことをおっしゃいました。「花を愛で、花に愛でられる。それが仏の道です」。

花を無心に愛でたいという心に応えて、花も無心に咲き誇ります。すると、その花をもとめて、人が、小鳥たちが、ミツバチが、さまざまな虫や生命がやってきます。愛に応えた花が、われわれ生命を愛で、幸せにしてくれるのです。しかも、ごく自然な摂理として。そんな、善きことの環をひろげてゆきましょうというのが、お釈迦さまの教えです。

家族や友人、他の人や自然を大切にする心が、自分の人生にも「花」を咲かせてくれる日がきっときます。そんな、人生の「春」を待ち望む、うららかな生き方をしたいものです。