花の寺 圓藏院

2019.02.18 梅の花咲く

六田越えて花にいそぐや一の坂

(正岡子規『病床六尺』より)

万葉集の時代には「花」といえば、桜ではなく、梅。寒い冬の頂を上りつめると、最初に梅が咲き、あとは、坂を下るようにつぎつぎ春の花が咲きはじめる。結核を患い、病床に伏す俳人子規には、そんな春の生命のほとばしりが、眩しく映ったのでしょう。

圓藏院の庭でも、紅白の梅が開花して、おとずれる人を愉しませてくれています。

水仙、蝋梅、河津桜と、今月末から春先の花々が咲きだす予感もあります。

とはいえ、庭も本堂も、まだまだ寒々しい。そんな、晩冬のある朝。気づくと、どなたかが人知れず、すべてのお地蔵さまに、手編みの赤い毛糸帽子と前掛けを着せてくださっていました。

そのお気持ちが、とても、あたたかくて。心には、一足先に、春がおとずれたようでした。