梅が咲きはじめたころ、芝川小学校3年生の児童120名が、圓藏院に社会科見学で来院しました。地域にある「伝統や古いものを守っている場所」を、見学しにきたのです。毎年恒例のこの授業。一年でも一番寒い時期ではありますが、さすがは、風の子。児童たちは、元気で、明るく、「寒い」なんて言葉はどの子からも聞かれません。
まず、全員で挨拶の後、住職がお話をします。圓藏院の寺歴や伝統を守り育てる生活も話しますが、お互いに挨拶することの大切さなども。子どもたちからの、「合掌の意味を教えてください」という質問に、住職は「胸の前で手と手を合わせるから合掌です。右手と左手を合わせると、両手の間に小さな空間が生まれます。それは、心です。自分の心と同じくらい、あなたの心を大切にしますよ、という気持ちの表れが合掌であり、挨拶です」と答えます。
仏教が日本に伝来してから、千二百年が経ちます。その意味では、お寺という存在は、昔からある「古いもの」かもしれません。しかし、伝統を守り育てるということは、地域や檀信徒の皆様、子どもたちと共に、日々、新しく学び、自分たちも育ってゆく、ということでもあると思います。圓藏院もそうした学びの一助となるべく、地域教育やお寺での活動に微力ながら力を尽くしています。芝川小学校のみなさん、また、ぜひ、学びに、遊びに来てくださいね。
本堂での授業が終わると、風の子たちは元気にお庭に飛び出して、遊んでいました。大銀杏の幹の太さを体感しようと、五人の児童が手をつないで幹に抱きつきます。気が遠くなるほど昔からある、古い古い大銀杏も、その日は子どもたちの遊び相手をして、うれしそうでした。