春の花々も咲きおわり、ドウダンツツジもそろそろ散華しつつある圓藏院のお庭は、萌黄色一色。さいたま市天然記念物の大銀杏も柿の木もカエデも、エメラルド色の若葉を吹き上げています。
新型コロナ・ウィルス対策の非常事態宣言から約一月が経ったお庭には、いつもよりおおくの参拝客や散策の家族づれがおみえになっています。大銀杏の大きな大きな木陰はもとより、花々や、爽やかな緑風に憩い、癒されています。
かつて、神楽坂界隈に暮らした夏目漱石は、しばしば毘沙門天善国寺の境内を散策し、日誌にも、堂から朝夕聴こえる「般若心経に安心安楽を覚ゆ」と記しています。こうした不安の時期に、わたしたちを無言でつつみ「安心安楽」をあたえてくれる花、樹、鳥の自然の姿は、まさに、御仏といえるでしょう。
さて、前回のお知らせでは、六月末に開催される恒例の「施餓鬼供養受付」についてふれました。いまだ外出の自粛がもとめられるなか、当山圓藏院としましても、流動的な状況をみすえ、受付の開催が可能であるかどうかを検討しております。つきましては、本ホームページで来週中をめどに、開催の可否を檀家信徒のみなさまにお伝えする予定です。ホームページをご覧の方は、ひきつづきご注目ください。
なお、ご法事は、5〜10名程度までの参加者内で、平常通り執行っております(待合室は、現在、閉室中です)。
今朝、どこからともなく、チョウゲンボウが滑空してきて大銀杏の枝にとまりました。ふだんは奥見沼にいる小型のハヤブサで、ここまで飛んでくるのはとても珍しい。今年はウグイスもいちだんと美しく啼いています。自然が豊かといわれる見沼ですが……経済活動が緩和されて、車量もすくなく、大気が浄化されたからでしょう。今回のコロナは、わたしたちの暮らし方を、もういちど見つめなおす機会にもなりそうです。